働き者な生物といえば、アリ。
アリとキリギリスの話を思い浮かべます。
しかし、最近、
常にアリはすべてが真面目に働いているわけではないという話を耳にします。
アマゾンのkindleショップで
「働かないアリに意義がある」という本を見つけました。
早速購入してダウンロード。
研究発表のような内容でありながら、わかりやすい例も交えて、大変読みやすく、興味深くよみました。
アリの研究も大変なようで、観察を続けているうちに、研究員が過労で倒れたこともあるようです。
小さいアリを、細かく観察していくのですから大変な研究だと思います。
この研究が新聞で発表されたことがあって、それに対する読者のコメントは、この研究を小馬鹿にしたようなものでした。
著者はそれを認めつつも、研究を続けている研究者たちのおかげで、アリだけでなく同じ社会性を持つハチなどの生態がずいぶんわかってきたようです。
これが何に役に立つのかは、わかりません。しかし、この研究が将来何かの役に立つ可能性もあります。そして、このアリの生態は、組織のありかたのヒントになるのではないかと思います。
後半は、今まで行われてきた企業のリストラへの警鐘のようにも受け取れました。
この本が出版されたのは、2010年です。リストラが頻繁に行われている時期だったと思います。
- 作者: 長谷川英祐
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2010/12/21
- メディア: 新書
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アリは常にみんな一生懸命に働いているのではありません。
働かないアリもいます。
それで働いているアリたちから文句も出ないようです。
会社ですと、真面目に働かない人がいると、社員間から文句がでて、ついには、リストラされてしまいます。
なぜかというと、アリのコロニーには、リストラを言い渡す人事部がありません。さらには、係長も課長も部長も常務も専務も社長もいないようです。
女王アリもいますが、それほど権力はないようです。卵を産むだけの存在です。
コロニー全体のこと把握しているわけではありません。
誰も「働け!」としかることができません。
また、ITを使っての情報の共有もしません。
誰が何をしているかは、アリのコロニーのメンバーにわかりません。
それは、それで、アリのコロニーは、ちゃんと機能しています。
働かないアリがいないと、アリのコロニーは維持できないかもしれません。
管理職がいないアリのコミュニティは誰が指示して、働くアリ働かないアリを決めているのでしょう。
アリやハチのような生物を真社会性生物といいます。
人 間の脳のように複雑な思考ができる前頭葉などがありません。
それでも、ちゃんとコロニーを維持いていけるのは、それぞれの個体の「反応閾値」の違いによる ものです。
すぐに反応する「腰の軽い」アリから「腰の重い」アリまでいるようです。
「腰の軽い」アリは、マメに働きます。
しかし、それでも手が足りなく なってくると順番に「腰の重い」アリが働きだします。
この「反応閾値」の違いが、管理職がいないアリのコロニーで、必要な所に必要な労働力を配置できるようになっているようです。
それによって、アリは周辺環境の変化に対応していっているのでしょう。
「全員の腰がかるくてもダメ」ということが言えます。
なかなか良くできていると思います。
<長くなるので、「つづく」にします。>