いまこのときが大切

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「古都」 川端康成

 最近京都によく行くので、京都に関する本をよく読む。

その中で、川端康成の「古都」を引用している本があった。

川端康成の小説は「雪国」とあと数冊を読んだ程度。

「古都」はノーベル賞受賞の対象になった作品。

映画化もされ舞台化もされた。

川端康成の代表作といえる。

読んでみた。

 

この小説は、昭和36年に「朝日新聞」で連載された。

『古都』(こと)は、川端康成の長編小説。古都・京都を舞台に、生き別れになった双子の姉妹の数奇な運命を描いた川端の代表作の一つ。京都各地の名所や史蹟、年中行事が盛り込まれた人気作品であるが[1]、国内より海外での評価の方が高くノーベル文学賞の授賞対象作にもなった[2][3]。老舗呉服商の一人娘として育った捨て子の娘が、北山杉の村で見かけた自分の分身のような村娘と祇園祭の夜に偶然出逢う物語。互いに心を通わせながらも同じ屋根の下で暮らせない双子の娘の健気な姿が、四季折々の美しい風景や京都の伝統を背景に、切なく可憐に描かれている。 (ウィキペディア「古都」より)

このころ川端康成は、多くの文学賞を受賞し、「雪国」が翻訳されるなど、世界的に有名になっており、小説家としては脂の乗り切ったころだったと思う。

しかし、 この小説を書いているとき、川端康成睡眠薬を服用していた時期のようだ。あとがきでは「濫用」ともあったので相当服用していたのだろう。

この小説を機に睡眠薬を止めたようだ。

次の年には、睡眠薬の禁断症状で意識不明にになってる。

睡眠薬を多用しないといけないような状態にありながら書かれた「古都」。

あとがきでは、睡眠薬のせいだろう、執筆期間にあった記憶が失われ、「古都」ではなにを書いたかも覚えていない状態だったようだ。

行文のみだれが、調子の狂いがこの作品の特色となっているとも書いていた。

そんな状態で書かれた「古都」。

評価高い。

読んで思ったのが、読みながら、それぞれの情景が頭に浮かんでくる感じがした。

京都の四季の行事なども練りこまれて、

登場人物の話す京都弁の味がとてもよく、これがこの小説の味を良くしているように思った。

京都弁は、しっかりと修正が加えられている。

京都弁の味も良かった。

かつての京都の人の営みを読むことができるような小説かと思う。

難しいことは感じられない。いい情景を見たという読了感と、浮かんできた情景を今の京都と比べ、今はもう昔の話になったのだろうなという思いが浮かんだ。

 

この小説に関する評価は、ウィキペディアにあった。

『古都』は、京都という古き伝統が残る地を舞台とし、各地の名所や年中行事絵巻を楽しめる作品でもあり、映画化やドラマ化も多くなされ知名度はあるが、他の代表的川端作品の『雪国』や『山の音』などに比べると、文学的にはあまり本格的論及の対象とはなっていない傾向がある[2]。失われてゆく日本の美をとどめておきたいという、川端自身の創作意図の観点から論じられることが多く、構造的な読みは他の川端作品よりは少ない[2]。 (ウィキペディア「古都」より)

 

 

   

  

日本は「前の戦争」である太平洋戦争で大きな被害を受けた。東京も大阪も神戸も日本の各地に爆弾が落とされた。焦土と化した。広島・長崎には人類史上唯一原子爆弾が投下されるという人類史上の最も悲惨なことになった。

そんな事態のなかで、京都は別だった。昔からの営みの流れを育みつつ終戦をむかえることができたのではないかと思う。京都は空襲を受けていない。

そんなことがあってか、京都の人にとって「前の戦争」と言えば、「応仁の乱」というと言う京都を表すジョークがあるようだ。

応仁の乱」は京都のあらゆるものを焼き尽くした。多くの寺社仏閣に行って説明書きを読むと「応仁の乱」で焼失したとよく見かける。それほど、「応仁の乱」は京都の人にとっては大きな戦争だったのだろう。

京都の街は、「応仁の乱」から綿々と営みを維持してきたのかもしれない。

1200年の歴史のある街京都。いつの時代も、守られてきた。

時代時代の変遷の時、時の為政者は京都を守った。敵対国からも守られた。

 

そんな京都にも時代の変化の波が押し寄せてきた。

日本は敗戦から立ち直り、高度経済成長の時代、豊かになるにつれ、徐々にヒトとヒトの壁、家と家の壁が高くなっていった。

その流れが、京都に押し寄せるよせくる様子を見て、日本から日本の良さが消えて行くのを川端康成はそれを惜しんだのだろう。

京都には、ヒトは変わっても、まだ昔ながらの雰囲気が街の中に記憶として残っていると思う。 

 

古都 (新潮文庫)

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おひとり京都の愉しみ (光文社新書)

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今、ふたたびの京都―東山魁夷を訪ね、川端康成に触れる旅

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